昨今のグラフィックボードは発熱の増加によって強力な冷却能力を要求するようになったことで大型のクーラーを搭載しており、PCに搭載すると下部のPCIeスロットを塞いでしまったり、大きすぎてあまり雑にケースを選ぶと入らないといった問題がある。今回はそのような問題を解決したハイエンドGPU搭載のASRock RX 7900 XTX Creator 24GBを紹介しよう。

外観

まず特徴的なのはその見た目だ。最近はヒートシンクに向かって垂直に風を当てて冷やす、いわゆる内排気モデルが主流だが、このグラボではブロワーファンを用いてベイパーチャンバーからヒートシンクに伝わった熱をそのままケース外へ直接排気する外排気モデルとなっている。その気流をできるだけ阻害しないようにブラケット部分は大きく開いており、ヒートシンクが丸見えだ。
なお映像出力端子はDisplayPortが3つにHDMIが1つと一般的な構成になっている。

表側は非常にシンプルな造形で、左側にある三角形の矢印のようなラインがアクセントになっている。
裏側はカードの3分の2がバックプレートで覆われているが、後方は基板が剥き出しになっている。

このグラボのもう一つの特徴として、Radeonでありながら従来のPCIe8ピン補助電源ではなく、12V-2×6を用いている。これにより、補助電源コネクタを1本挿せば接続が完了するためお手軽だ。なお電源側に12V-2×6コネクタがなくても、PCIe8ピンx3から変換するケーブルが付属するので安心だ。

筆者が今まで使っていたRTX 4070 Ti Superとの比較。カード長は少し長くなったが2スロットのままでスリムだ。

実際に組み込んだ様子がこちら。筆者の環境ではPCIeのSSDを追加で挿しているため、2スロット以上のグラフィックボードは入らない。そのためこのようなモデルの存在は非常にありがたいものとなっている。補助電源コネクタは後方についているが、よほど窮屈なケースでなければ問題ない。

実働テスト

それではいよいよこのグラボの性能を試してみることにしよう。
外排気でもTDP355Wの熱をしっかり冷やせるのか、騒音はどうなのかもみていこう。

検証環境で使ったPCの構成はこれだ。消費電力の計測にはHWiNFO64を用いているので実際の値とは多少誤差があるのはご了承願いたい。

CPUAMD RYZEN 9 7900X3D
CPUクーラーDeepcool AK620
メモリKingston Server Premier DDR5-4800 32GBx2
グラフィックボードASRock RX 7900 XTX Creator 24GB
マザーボードASRock B650 LiveMixer
電源SuperFlower LEADEX V Gold 1000W
OSWindows 11 Pro 23H2(22632)
ドライババージョン24.10.27 (32.0.11027.1003)

まずは3DMark TimeSpyだ。24000を超えており概ね良好なスコアと言える。ただOCモデルと比べると少し性能は控えめだ。


そしてFireStrikeはこうなった。やはり定格な分3DMarkのデータベースの平均スコアには及ばないが、2スロットのクーラーで動いていることを考えたら十分に高性能だろう。



ここからはゲームのベンチマークソフトを用いていく。1つ目は惜しくも今年1月にサービスが終了してしまったBLUE PROTOCOLベンチマークだ。こちらは良好なスコアとなっている。



次に定番FF14:黄金のレガシーベンチマークだ。しっかりと性能が出ている。

最後にFF15ベンチマークの様子をお届けする。このベンチマークでは温度と騒音も測定した。

GPU温度に関しては75℃とリファレンスモデル程度には冷えていそうだ。GPUホットスポット温度も85℃前後となっており、実用上全く問題ない。メモリジャンクション温度は95℃近くなっており少し高めで多少気になるところではある。騒音については、GPUファンが3000rpmを超えており明確にサーッというような風の流れが聞こえるものの、55dB前後と見た目の割にはおとなしい印象だ。環境によってはケースファンのほうが耳につくような音がなるかもしれない。

総評:思っていたより静かで十分な冷却性能

筆者はこのグラフィックボードを購入するにあたって、騒音がどれくらいか気になり、一度ASRock Japanの𝕏アカウントに質問をしていた。その際の返答が相当うるさいとのことだったので少し身構えていたが、実際はそれほどでもなかった。冷却性能についても、TDP355Wの熱をしっかり放熱できており、重量級のゲームを長時間やっても問題ないだろう。個人的にはその騒音より、ケース外へ直接排気される熱風自体が気になった。この時期ならいいが、夏場は足元が熱風で炙られる可能性がある。

  • どうしても2スロットでないと困る人
  • グラフィックボードを複数枚挿したい人(主にAI用途など)
  • 12V-2×6で給電したい人

となるだろう。24GBものVRAMを搭載していて2スロットというグラボは国内ではほぼ唯一無二の存在だ。最近のグラボはどんどん巨大化して扱いにくくなっており、拡張カードを挿せない。PCIeのSSDを挿したい筆者にとってはこのようなグラフィックボードが増えることを願っている。